祝20周年「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」感想&考察【ネタバレ注意】

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先日「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」鑑賞してきました。

結論から言えば、とても良かった。 

 

今回はその感想や考察を綴っていきたいと思います。

 

 

劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」とは

ポケモン映画20作記念特別企画。『無印編』のカントー地方編を原案とし、第1話のラストで登場したホウオウを見て交わした「いつか、あいつに会いに行こう」という約束の続きを描く完全オリジナルストーリーとなっており[1]サトシピカチュウの出会いから旅立ち、本当のパートナーになるまでの成長物語として描かれる[2]

 劇場版ポケットモンスター キミにきめた! - Wikipedia

 

原作とは異なる完全なifストーリーとなっていて、パンフレットにも本作は「remake」ではなく「refine」だと記されています。

過去のサトシの冒険をただただ振り返るのではなく、またこれもひとつの物語として楽しんでほしいという意向でしょうか。

 

確かにその内容も、純粋な「remake」を求めると物足りないものがありますが、「refine」として鑑賞してみるとサトシとピカチュウの関係性を再確認することができる良い映画だと思います。

 

 

映画としての感想

序盤10分頃、オニスズメからお互いを助け合うサトシとピカチュウでもう号泣。

中盤、バイバイバタフリーで号泣。

終盤は序盤中盤にすでに涙が枯れ尽き、最早涙は出ませんでした笑

 

一見リメイクのようなオリジナル作品ですが、上記のような周知のシーンが要所要所であるので、その懐かしさと目新しさのバランスが良いですね。

 

トーリーとしてはよくまとまっていて、サトシたちの目的はただひとつ「ホウオウに会いに行くこと」です。

その道中、サトシは出会い、別れ、また出会う。

そんな連続の中で、サトシは何を感じ何を学ぶのかという、ある意味サトシのドキュメンタリーのような雰囲気の作品です。

僕たち視聴者は、そんなサトシの動向を第三者として見守りながら、改めてサトシとピカチュウの友情を再確認することができる機会となりました。

 

 

ピカチュウが終盤、言葉を発するシーンがありましたね。

あれに関しては皆さん賛否両論あるかと思いますが、個人的には特に賛も否もなく、寧ろ

「今まで言葉も交わさず、ここまでの友情を築けていたのか」

ということに気付かされ、驚きましたね。

 

人間同士の友情ではなく、言葉の通じない異種族同士の友情だからこそ、より輝いてみえるのでしょう。

 

あと、本作はifストーリーではあるものの、ピカチュウ「いつも一緒にいたいから」という言葉の真意は、原作のピカチュウも同じでしょう。

本作原作共に、未だにモンスターボールへ入らないピカチュウの意思を明確に表現できた良いシーンだと思います。

 

 

この映画のメッセージ性

僕は1996年生まれで、初代ポケモンと同い年。

実はポケモンのゲームは一応全世代プレイしているのですが、アニメはDPあたりから自然と観なくなっていました。

物心ついたときから身近にあったサトシとピカチュウも、いつのまにか僕の心からは離れてしまっていたんです。

 

僕以外にも、「昔はアニメを観ていたけれど、今はもう観ていない」という人も多いでしょう。

本作はそういった「いつのまにかポケモンを忘れていた人たち」に特に響く内容となっているし、また強烈なメッセージ性のあるものでした。

 

 

サトシの見た悪夢は、今の僕たちそのもの。

映画の途中、サトシが純粋な心を失いかけ、それに気がついたマーシャドーによって、サトシがポケモンに関する思い出を全て忘れてしまうというシーンがあります。

しかし、サトシは相棒のピカチュウ延いてはポケモンたちのことをなんとか思い出し、無事に純粋な心を取り戻すことができました。

 

あれは、過去にポケモンを楽しんでいた僕たちのことを表していたのかなと思います。

  

 

この記事の冒頭にも書いたように、子どものころにポケモンを楽しんでいた僕たちも、大人になるにつれていつのまにかポケモンを忘れていました。

 

勉強や、習い事、部活等によって忙しくなり、ポケモンを見ること・プレイすることが難しくなったからというのが大半の理由かな?

また、社会的体裁的な理由の人も中にはいるでしょう。

 

僕たちはその過程で、純粋な心がどんどん埋もれていっていたのかもしれません。

 

でも大人になるって、そういうことです。

どうしても純粋な心だけではいられません。

 

しかし、今回の映画はそんな埋もれた心を呼び起こす、そんな思いが込められているように感じました。

 

 

昔は無心でテレビに向かいポケモンを楽しんでいた僕たちの思い出。

そんな楽しかった思い出と同時に、純粋な心をサトシと一緒に思い出せるような、そんな映画でした。

 

「忘れていたけれど思い出した」

これが裏テーマとしてあるように感じましたね。

 

 

旅の仲間がタケシとカスミじゃなかったことについて

個人的には大変残念ではあるものの、今回のストーリー内容であれば、これはこれで良かったと思います。

 

無印におけるタケシとカスミのポジションは、サトシを影ながら支えてあげたり時には導いてあげたりする、いわゆる保護者的な役割がありました。

しかし、今作のマコトとソウジの場合はサトシと対等なトレーナーというような印象だったので、そのぶん今作ではサトシの心の揺れや葛藤が大きく、これまでとは異なるサトシの暗い一面が見れてよかったと思います。

 

あと今作がパラレルワールドだよ!っていうのも明確になるしね。

 

 

EDに今までの旅の仲間が登場!でも…

映画のEDでは、今までの旅の仲間が一瞬ですが紹介されましたね。

もうここは良い意味で「やりおったな!」と思いました笑

今作は出ないと思っていたタケシやカスミが出てくるというだけでなぜか感動してしまいました…。

 

でも…旅の仲間のトレーナーを紹介するなら、過去のサトシの手持ちポケモンも出して欲しかったなあと思います。
プラスαの要求にはなってしまうのはわかっているのですが…期待してしまったぶん少し残念た。

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映画内の隠れたファンサービス

ここからは映画を観ていて、「あれ?わかりづらいけどこのシーンor風景or人物、見たことあるぞ?」 と感じた部分を紹介したいと思います。

トーリーに直接直結するものはないですが、今までのポケモンアニメを観てきた方々へのファンサービスのようなものでしょう。

こういう遊び心、憎いです笑

 

 

ポケモンリーグカメックスフシギバナでバトルを繰り広げる男女

冒頭、ポケモンリーグらしき場所にて、トレーナーが派手にポケモンバトルをしていましたね。

よーく見てみると、それはミュウツーの逆襲に登場したトレーナーのスイート(上)とソラオ(下)でした。

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シゲルの登場

オーキドからポケモンをもらう子どもたちのなかの一人として、背中だけの出演ですが見覚えのある姿がありましたね。

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残念ながら今作では声の登場すらありませんが、原作と同様オーキドの孫であるシゲルがゼニガメを選んで一足先に冒険へ旅立ったようです。

チアリーダーたちが懐かしいなあ。

 

 

フシギソウの顔真似をするピカチュウ

サトシがポケモンセンターでママとテレビ電話するとき、ピカチュウが通りすがりのフシギソウの顔真似をして勝手に楽しんでいました。

 

そういえば初期の頃はピカチュウは顔真似を含めた顔芸をよくしていたなあ。

顔芸以外にも、ケチャップ好きなところなど、初期の頃はピカチュウの何気ない一挙一動に多くのスポットが当てられていた印象があるので、こういったピカチュウの人間らしさが表れている描写はとても良いですね。

 

思い返して見ると、初期のピカチュウはひとつの人格としてとても個性豊かで、愛らしいキャラクターでした。

↓ちなみにピカチュウの顔真似集です笑

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他にも劇中ポッチャマとふざけ合うピカチュウはとても可愛らしかったです笑

 

 

サトシママとテレビ電話しているときに目撃情報の入ったエンテイ

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劇場版第3作目「結晶塔の帝王」ではエンテイが伝説のポケモンとして登場しますが、この作品では珍しくサトシママが主要人物となっていて、エンテイにとってとても重要な役割を持っています。

 

「キミにきめた!」では、物語の途中エンテイが登場しますが、「エンテイが現れた!」という情報がきたときに、ちょうどサトシはサトシママ(ハナコ)とポケモンセンターでテレビ電話をしていました。

今作で直接エンテイとサトシママがなにか特に関わったわけではありませんが、劇場版第3作目を想起させるようなタイミングのシーンだと思います。

 

 

洞窟で暖め合うサトシとポケモンたち

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無印第66話「ビバークイワーク」にて、似たようなシーンがありましたね。

寒さの中、サトシが気遣ってポケモン達をモンスターボールにしまおうとしますが、ポケモンたちはそれを拒否してモンスターボールから出て、みんなでくっついてサトシを温めようとします。

文句なしの名シーン、その再現のように感じました。

 

 

先生がキクコ

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サトシが夢の中で授業を受けるシーンがありますが、教壇に立つ先生の姿は、ゴースト使いの四天王キクコでした。

これは正直誰得って感じです笑

 

ボンジイの正体

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物語中盤からサトシたちと行動を共にするホウオウ研究者のボンジイ。
そのボンジイのジャケットとキャップが、ゲーム初代主人公のレッドとほぼ一致してますね。
ネットではボンジイ=レッドと騒がれていますが、それだと年代等が辻褄合わないし、劇中特にそういったことを示唆する描写もないので、正直特にこれに意味はないんじゃないかなと思います。

 

ま、でもレッド本人かは別としても、確実にモチーフにはなっています。
これこそファンサービスみたいなものでしょう。

 

 

ポケモンに攻撃されて死んでしまうサトシ

この場面、思い出した人も多いのではないでしょうか。
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第1作目劇場版のミュウツーの逆襲にて、今作と同様にサトシがポケモンの攻撃に巻き込まれて、死んで(?)しまいますね。
それを見たピカチュウがサトシへ必死に呼びかけるが、サトシからの返事はない。

この構図はミュウツーの逆襲とそっくりでした。
このシーンにより、「そういえば当時ミュウツーの逆襲を見て今と同じように泣いたなあ」と感慨深い気持ちになりました。

 

 

一本の木の下で佇むサトシとピカチュウ

映画の途中、サトシとピカチュウが一本の大木の生えた丘の上に立っているシーンがあるんですが、そのシーンを観た時にアドバンスジェネレーションのエンディングを思い出しました。

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まとめ 

昔のポケモンファンも、現在のちびっこファンも、それぞれ違った視点で楽しめる良作映画でした。

まだ視聴していない人は、是非映画館へ!!!

 

あ、そういえば、マーシャドーが普通に凶悪なキャラクターで困惑しました。

純粋な心を持っているはずのサトシを攻撃するのは意味不明通り越して理不尽です笑
いつも幻のポケモン枠はサトシの味方ポジなので、こんな怖ぇ奴が影に潜んでいたと思うと恐ろしい。

 

 

 

P.S

今作のロケット団の存在意義がわからなかった…。

別にいなくてもまったく問題ないように感じます。

わかる人いたら教えてください。